【レッスン③】DeFiからFutureFiへ

Algorandが目指すFutureFi

Algorandでは、既存の金融機関による従来型金融（CeFi）とブロックチェーンにより推し進められている分散型金融（DeFi）の統合を目指しており、このことをFutureFi（未来の金融）と呼んでいます。

FutureFiは、CeFiとDeFiの交差点として機能し、それらを実行することができる高性能なブロックチェーンを提供することを目指しています。

2018年頃より、イーサリアムを中心にDeFiプロダクトが多く登場しています。

これまで銀行や証券会社、取引所などの金融機関を通してしか行うことができなかった多くの金融取引が、ブロックチェーンやプログラムの技術によって管理者不在で行うことができるようになりました。

2020年にはNon-Fungible Tokenが流行し、デジタルアートや権利として注目を集めています。

これら以外にも、ブロックチェーンの活用例としてトークンやステーブルコイン、証券、CBDC（中央銀行デジタル通貨）などがあげられます。

CBDC（中央銀行デジタル通貨）

CBDC（中央銀行デジタル通貨）は、各国の中央銀行が発行するデジタル通貨です。

中央銀行の役割は、自国の通貨を発行したり政府の資金を管理したり、その国の金融の中心的存在となります。

現在は各国の中央銀行が通貨を発行し、それらが使用されることで経済が成り立っています。

しかし、デジタル化が進む中で通貨のデジタル化も避けては通れないでしょう。

そのため、2018年頃よりCBDCが議論されるようになりました。

そして2018年2月に、マーシャル諸島共和国においてブロックチェーンベースのデジタル通貨「SOV（ソブリン）」を新しい法定通貨とする法律が可決されました。

このSOVに採用されたブロックチェーンこそが、Algorandです。

SOVの機能

Algorand上に発行されているCBDCとして、SOVについて学習していきます。

SOVを使ったトランザクションは全てブロックチェーンに記録されるため、透明性・セキュリティ・信頼性を確保することができます。

中央銀行によって監視することも可能です。

一般的に通貨は、政局が不安定になったり世界経済の影響を受けると甚大なインフレを引き起こしてしまうことがあります。

SOVは、アルゴリズムによって供給上昇率を年4％に固定しているため、例えば通貨の刷り過ぎなどによるインフレが起こる心配もありません。

デジタル通貨はこれまでの紙幣では対処しきれなかった地域固有の課題も解決することが期待されています。

例えば、途上国ではスマートフォンは所持しているものの、銀行口座を持つことができていない人が多くいます。

SOVのようなデジタル通貨は、そのような人々が金融にアクセスする機会を提供します。

スマートフォンでデジタル通貨を管理する仕組みが整えば、その次は運用する体制つまりDeFiが整っていくことになるでしょう。

コ・チェーン（Co-Chains）について

CBDCであるSOVのようなデジタル通貨の場合、トランザクションを承認するバリデータはプライベートかつ安全である必要があります。

この問題をクリアするために、Algorandにはもう1つのブロックチェーンである「コ・チェーン（Co-Chains）」が用意されています。

Algorand自体はオープンでパーミッションレスなパブリックチェーンですが、コ・チェーンは許可型のプライベートチェーンです。

コ・チェーンは、Algorandパブリックチェーンの基本機能をそのまま引き継いでおり、スマートコントラクトのアップグレードが行われた場合も反映されます。

一方で、コ・チェーンはAlgorandパブリックチェーンと完全に独立して運用されているため、それぞれ独自のバリデータを設定することができ、バリデータごとの重みなどをカスタマイズすることも可能です。

そのため、ネットワークの外部からトランザクションを保護することもできます。

それぞれのコ・チェーンは独立しているものの、Algorandパブリックチェーンおよび他のコ・チェーンとのセキュリティ面などで相互運用性を持ちます。

コ・チェーン間で資産を移動させることができるアセットスワップという仕組みも搭載されています。

このようにAlgorandパブリックチェーンだけでなく、CBDCにも利用可能なコ・チェーンを活用することにより、Algorandはブロックチェーンの可能性を広げていきFutureFiの実現を目指しているのです。