導入
導入部分では、現代のインターネット商取引には金融機関などの信用できる第三者を挟む必要があることについて触れ、その問題点と解決策を説明しています。
問題点
信頼できる第三者が必要な状況による問題点は以下の通りです。
・金融機関は、個人間取引の仲介に入るものの、個人間にトラブルが発生した場合の仲裁対応に備えて、その仲裁対応に発生するであろうコストを予め徴収している。これにより、仲裁コストが取引コストを下回るよう制限する必要性が発生し、少額取引を実現することができていない。
・トラブル対応のために、取引を無かったことにできる(可逆的な取引)仕組みを備えておく必要性が発生する。これにより、非可逆的な取引(取り消せない取引)を実現することができない。
・可逆的な取引を実現するには、高度な信用が求められるため、金融機関は顧客に対して必要以上の個人情報を取得しなければならない。
・以上のように厳重な備えを施しても、不正を完全に防ぐことは不可能である。
解決策
これらの問題を解決するには、金融機関などの第三者を必要とせずに電子的な取引を実現する仕組みが必要であると説明しています。
・必要なのは第三者への信頼ではなく、暗号技術を基にした仕組みである。
・PtoP方式の分散タイムスタンプサーバを使用し、取引時刻を数学的に検証することができれば多重支払いを防ぐことができる。
・仮にPtoPネットワーク内に悪意のあるノードが存在したとしても、その数を善意のあるノードの数が上回っている限り、正常な状態を維持することができる。
ここで登場する「PtoP方式の分散タイムスタンプサーバ」こそ、ブロックチェーンの元になった仕組みです。
実は、論文内では一度も「Blockchain」という言葉は登場していません。
サトシ・ナカモト自身も、ビットコインを実現するための仕組みがブロックチェーンとして切り離され、ここまで注目されるようになるとは思ってもみなかったことでしょう。
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