【レッスン③】Compoundにおける債権トークンを理解しよう

なぜこのレッスンが必要なのか

Compoundに資産を供給すると、その対価としてcTokenという債権トークンが付与されます。この債権トークンこそ、既存金融とDeFiの最大の違いであるComposability(コンポーサビリティ)を生み出している要素です。債権トークンについての理解を深めることで、DeFiで起きている革新的な現象について触れてみましょう。

このレッスンで学べること

  • cTokenと債権トークン
  • DeFiのコンポーサビリティ
  • 既存金融におけるサービス連携の難しさ

cTokenと債権トークン

Compoundの仕組みを理解する上で、cTokenは欠かせません。

レッスン2で学習した通り、Compoundに資金を貸し出すと、その対価としてcTokenが付与されます。

cTokenは、どの仮想通貨を貸し出したかによって変化します。

例えば、ETHを貸し出した場合に付与されるのは「cETH」、DAIを貸し出した場合に付与されるのは「cDAI」です。


この時、cTokenは貸し出した金額と同額分付与される点が特徴です。

10ETHを貸し出した場合には、10ETHと同じ価値を持つcETHが付与されます。


Compoundから付与されたcTokenは、イーサリアムの共通規格ERC-20によって発行されています。

そのため、Compound以外にERC-20に対応しているサービスであれば、cTokenを取り扱うことが可能です。

例えば、cTokenであるcETHやcDAIは、分散型取引所(DEX)のUniswapで取引することができます。


cTokenは、Compoundに資金を貸し出すことの対価です。

貸し出した資金はいつでも引き出すことができるため債権として扱われることから、cTokenは債権トークンと呼ばれることがあります。

cTokenをUniswapなどで売却した場合、Compoundで資金を引出すための権利も一緒に売却していることになります。


UniswapでcTokenを購入したユーザーは、CompoundでcTokenの元になった資金を引出すことが可能です。

これは同じブロックチェーン上に開発されているDeFiサービスならではの性質であり、スマートコントラクトだからこそ実現できる仕組みです。


現代の金融サービスでは、銀行などでお金の貸し借りを行う際には審査が必要でした。

審査の結果、各人には異なる利率が提示されるため、債権トークンのように他人に債権を直接販売することは困難です。


Compoundでは、利用者を選ばずにその都度平等に利率を設定して貸し借りを行うことができるため、債権トークンをCompoundの外部で売買することができるようになりました。

このように、同じブロックチェーン上で開発されている異なるサービス同士が相互に連携可能である状態をコンポーザビリティ(Composability)といいます。


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DeFiのコンポーサビリティ

現代の金融サービスの場合、それぞれに特定の管理者が存在するため、サービス同士が連携するには複雑な作業が必要でした。

金融機関同士が連携するための交渉から始まり、契約書を作成、顧客情報をどのように管理するか議論し、セキュリティ要件をチェック...

加えて、APIの開発やシステムの接続テストなども行わなければなりません。


これらのプロセスを完了するには、膨大な月日と莫大な費用がかかります。

実現された頃にはすでに時代遅れになっていることも珍しくなく、結果的にあまり使われないサービスになってしまうのです。


この問題を解決したのが、DeFiのコンポーザビリティです。

コンポーザビリティは、異なるシステムを自由に組み合わせて新たな仕組みを構築可能であることを意味します。

多くのDeFiサービスは、イーサリアム上に構築されておりスマートコントラクトによって自動実行されています。

そのため、お互いのスマートコントラクト同士を接続することで、簡単にサービスを連携させることができるのです。


DeFiサービスにコンポーザビリティがあることは、新たに金融サービスを開発する際のハードルを劇的に下げました。

現代の金融サービスでは、一つのシステムを開発するのに数年間で数十億から数百億円を必要とします。

しかしDeFiであれば、すでにある他のサービスに接続するだけで機能を補うことができるため、一から全ての金融サービス機能を開発する必要がありません。


コンポーザビリティは、決してDeFiだけに限った話ではなく、あらゆるサービスに適用できる可能性を秘めています。

例えば、UberやLyftといったライドシェアサービスにもコンポーザビリティは適用できます。

UberとLyftがそれぞれにドライバーを独占せずに、お互いのドライバーを相互に共有することで、利用者により良いサービス体験を提供することができそうです。


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Compoundのコンポーサビリティ

本レッスンの最後に、Compoundで実際に活用されているコンポーザビリティの例をみていきましょう。


カストディ(ウォレット

CompoundのガバナンストークンCOMPや債権トークンcTokenを管理するには、ウォレットが必要です。

しかし、自前でウォレットまで作っていては大変なので、管理は外部のカストディ事業者に任せています。

Compoundに対応しているカストディサービスは、Coinbase Custody、Anchorage、Fireblocks、BitGoなどがあげられます。


取引、レンディング

COMPやcTokenは、外部の取引所で売買可能です。

Uniswap以外にも、BinanceやCrypto.comなどで取り扱われています。

また、Compound以外のDeFiレンディングサービスでCOMPやcTokenを使用することができてしまう点も特徴的です。


ポートフォリオ管理

Compoundを頻繁に利用する人にとって、どの債権トークンをいくら分持っているかや、過去にどれだけのCOMPが付与されたかなどを管理するのは骨が折れます。

そこで、CompoundなどのDeFiレンディングサービスで資金を管理することに特化したサービスもいくつか誕生しました。

InstaDappやZerion、DeFi Saverといったサービスでは、Compoundで使用している資金を一箇所で管理することができます。


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