【レッスン④】イーサリアムの周辺環境をおさらい

開発ツール群

イーサリアムのエコシステムが拡大するにつれ、アプリケーションを開発するための周辺環境も充実してきました。

開発者向けではありますが、ここでいくつか紹介しておきます。

フレームワーク

• Truffle：https://trufflesuite.com/
• Embark：https://framework.embarklabs.io/
• OpenZeppelin：https://openzeppelin.com/

ライブラリ

• web3.js：https://github.com/ChainSafe/web3.js
• web3.py：https://github.com/ethereum/web3.py
• EthereumJS：https://ethereumjs.github.io/
• web3j：https://www.web3labs.com/web3j-sdk
• ethers.js：https://github.com/ethers-io/ethers.js/

その他

• EthereumJS helpeth：https://github.com/ethereumjs/helpeth
• dapp.tools：https://dapp.tools/
• SputnikVM：https://github.com/etcdevteam/sputnikvm
• Ethereum Developer Tools List：https://github.com/ConsenSys/ethereum-developer-tools-list#ethereum-developer-tools-list

ガス関連

イーサリアムを使用する場合、ガス代がいくらなのかは重要な確認事項になってきます。

ガス代をすぐに確認できるよう、見慣れたWebサイトを決めておくと良いでしょう。

• Etherscan：https://etherscan.io/gastracker
• ETH Gas Station：https://ethgasstation.info/
• Gas Now：https://www.gasnow.org/
• Bloxy：https://stat.bloxy.info/superset/dashboard/gas/
• Blocknative：https://www.blocknative.com/gas-estimator

エクスプローラ

イーサリアムのようなパブリックチェーンの場合、記録されたデータは全て閲覧することが可能です。

しかしながら、ブロックチェーンに精通した開発者でもない限り、ブロックチェーンを実際に覗いてみることは難しいでしょう。

そのため、ほとんどパブリックチェーンにはエクスプローラが用意されています。

特にイーサリアムはエクスプローラが充実しているため、気軽に覗いてみることが可能です。

• Etherscan：https://etherscan.io/
• Etherchain：https://etherchain.org/
• Blockchain.com：https://www.blockchain.com/explorer?view=eth
• Blockchair：https://blockchair.com/ethereum
• Ethplorer：https://ethplorer.io/

クライアント、ノード

イーサリアムにアクセスするには、専用のクライアントが必要になります。

• Geth（Go実装）：https://geth.ethereum.org/
• OpenEthereum（Rust実装）：https://github.com/openethereum/openethereum
• Nethermind（C#、NET実装）：https://nethermind.io/
• Besu（Java実装）：https://consensys.net/quorum/developers/
• Trinity（Python実装）：https://trinity.ethereum.org/

上記のクライアントを使用することで、「フルノード」「ライトノード」「アーカイブノード」を実行することができます。

• フルノード：完全なイーサリアムブロックチェーンのデータを保存し、全てのブロックとステートを検証する
• ライトノード：ヘッダーチェーンを保存し、ブロックヘッダーのステートルートに対してデータの有効性を検証する。主に低容量のデバイスで実行する際に使用
• アーカイブノード：フルノードと同様のデータを保存し、履歴を参照する際などに使用する。主にエクスプローラやウォレットが使用
• Etherscan（ノード関連データ）：https://etherscan.io/nodetracker

ブロックサイズ

イーサリアムは、ビットコインと異なりブロックチェーンの各ブロックには明確なブロックサイズが設けられていません。

その代わり、ブロック内に格納されているトランザクションのgasLimitの合計値が、ブロック全体のgasLimitを下回るように設計されています。

つまり、ブロックサイズ=全トランザクションのgasLimitの合計となるのです。

ブロック全体のgasLimitは、イーサリアムの需要に合わせて少しずつ引き上げられています。

gasLimitの値はEtherscanで確認することが可能です。

なお、gasLimitはイーサリアムのマイナーが投票によって決定しています。

GHOSTプロトコルとNothing at Stake問題

ブロックチェーンは常に分岐を繰り返しながらブロックを連結させています。

イーサリアムでは、どのチェーンを正しいチェーンにするか決める際に、GHOST（Greedy Heaviest Observed Subtree）と呼ばれるプロトコルを使用します。

これは、単に最も長いチェーンを正しいチェーンとするのではなく、最も多くの計算が蓄積されているチェーンを正しいチェーンとする仕組みです。

イーサリアムは、ビットコインの約10分と比べてブロック生成時間が約15秒と短くなっています。

そのため、多くのマイナーが同時にマイニングに成功しやすくなっており、結果的に無駄になるマイニングリソースが多いのです。

これに対して、最も多くの計算が蓄積されているチェーンを正しいチェーンとすることで、最終的に正しいチェーンに費やされなかったマイニングリソースも無駄にせずに済みます。

具体的には、正しいチェーンから分岐したommer（uncle、孫）ブロックに費やされたマイニングリソース（ハッシュパワー）も、正しいチェーンの決定要素として考慮する仕組みです。

一方で、このあとのレッスンで学習するようにイーサリアムは将来的にプルーフオブステーク（PoS）へ移行します。

PoSへ移行するとマイニングが不要となるため、GHOSTプロトコルについても把握しておく必要はなくなります。

しかしながら、PoSにもNothing at Stakeと呼ばれる問題が存在します。

これは、PoSにおける不正なチェーンを生成する動機の抑制が弱いことを意味する問題です。

プルーフオブワーク（PoW）の場合、ブロックを生成するのに膨大な電気代がかかりますが、PoSの場合はETHをステークするだけで済みます。

そのため、ETHを持ってさえいれば簡単に不正なチェーンを生成することができてしまうのです。

もちろんこの問題にも対策は施されています。

イーサリアムのPoSでは、Slashing（スラッシング）という仕組みにより、不正なチェーンを生成した場合にステークしていたETHが没取されることになっています。

イーサリアムの改善提案（EIP）

ビットコインやイーサリアムのようなパブリックチェーンには、改善提案を行う仕組みが用意されています。

ビットコインの場合はBIP（Bitcoin Improvement Proposals）、イーサリアムの場合はEIP（Ethereum Improvement Proposals）と呼ばれ、誰でも改善のためのアイデアを提案することが可能です。

このEIPに付随する形で誕生したのがERC（Ethereum Request for Comment）です。

ERCは、イーサリアムのスマートコントラクトに関する実装の提案で、ユーティリティトークンを簡単に開発できるERC-20や、Non-Fungible Token（NFT）を簡単に発行できるERC-721などがあります。

このERC-20によって爆発的に普及したのがICO（Initial Coin Offering）です。