【レッスン②】The Graphの概要

なぜこのレッスンが必要なのか

ブロックチェーン上の情報取得の難しさを踏まえ、The Graphがどのような経緯で誕生したのか、またどのようなプロジェクトなのかを学びましょう。また、The Graph上で利用されている仮想通貨GRTトークンの役割についても解説していきます。

このレッスンで学べること

  • The Graphの誕生経緯
  • The Graph概要
  • GRTトークンとは

The Graphの誕生経緯

2018年にYaniv Tal氏、Jannis Pohlman氏、 Brandom Ramirez氏の3名により、サンフランシスコでThe Graphの開発を行う企業Graph Protocol, Inc.が設立されました。

創業者は全員エンジニアとしてのバックエンドを持っています。

The Graph設立前にはいくつかの会社でともに働き、ソフトウェアの高速な開発手法について研究を行っていました。


2017年初頭にイーサリアムの本格的な勉強を始めた創業者たちは、DApps開発を効率的に行うためのプロトコルに深刻な欠点があることに気が付きます。

より具体的には、効率的なクエリ処理を行うための分散型プロトコルがありませんでした。

そこで、完全な分散型のDAppsを実現すべく、The Graphの開発をスタートさせたのです。


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The Graph概要

The Graphはインデックスの作成とクエリ処理を行うための分散型のプロトコルです。

イーサリアムなどのブロックチェーンや分散型ファイルシステムIPFSなどに保存されたデータのインデックスを作成することにより、DAppsからのクエリを効率的に処理することを可能にします。

そのような特徴からThe Graphは「ブロックチェーン界のGoogle」とも呼ばれています。


The Graphを利用する際、前回のレッスンで学習したようなインデックス作成用の独自サーバは不要です。

サーバを利用しないことで、ゼロダウンタイムをはじめとするDAppsのメリットを享受することが期待できます。


インデックスの作成を行うためには、サブグラフと呼ばれるオープンAPIを構築し公開します。

サブグラフは、インデックスを作成したいデータとどのように保存するかを定義するものであり、誰でも作成することができます。


The GraphへのクエリはGraphQLを利用して行われます。

GraphQLは2012年にMeta社(旧:Facebook社)によって開発されたクエリ言語で、2015年にはオープンソース化されています。

クライアント側から欲しいデータやその型、レスポンス形式を指定することができるのが特徴です。


The Graphを構成する要素には主に以下のようなものがあります。

  • Developer:The Graphを利用したDAppsの開発者。インデックス作成を行いたいデータについてSubgraphを作成する
  • Indexer:インデックスの作成を行いクエリを処理する
  • Curator:インデックスの作成をするサブグラフを指し示す
  • Delegator:IndexerにGRTトークンをステークする(預ける)ことでネットワークのセキュリティを強化する


これらについてはこの後のレッスンでより詳しく学習していきます。

The Graphはすでに多くのアプリケーションに利用されています。

実例としてはDeFiプロジェクトであるUniswapやSynthetix、メタバースゲームのDecentraland、自律分散型組織(DAO)の構築プラットフォームAragonなどです。


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GRTトークンとは

The GraphネットワークではGRTトークンというネイティブトークンが利用されています。

GRTトークンの目的は、ネットワークのセキュリティ強化とガバナンス、およびThe Graphネットワークの貢献者への経済的な動機付けによるネットワークの繁栄です。


Indexer、 Curator、 Delegatorはそれぞれの仕事を適切に行うことでGRTトークンを獲得できるというインセンティブが用意されています。

GRTトークンをうまく活用することで参加者がネットワークにとって良い行動をとってくれるようコントロールしているのです。

このような、仕事を行うことで報酬としてトークンを獲得できる仕組みはWorkトークンモデルと呼ばれています。


一方で、仕事を行うためにはGRTトークンステーキングが必要です。

不正への対策として、ステーキングされたGRTトークンを没収するSlashingと呼ばれる仕組みも存在します。


GRTトークンの代表的な用途としては、クエリ料があります。

The Graphにクエリを投げるコンシューマーは、クエリ処理を行うIndexerにクエリ料としてGRTトークンを支払います。

なお、ここでのコンシューマーはDAppsの開発者などがあげられます。


GRTトークンイーサリアムERC-20に準拠しています。

そのため、MetaMaskやCoinbase Walletといったウォレットで管理することが可能です。

また、ビットコインなどと異なり供給量が変動します。

初期総供給量は100億GRTでしたが、インデックス作成の報酬として年間3%が新規発行されています。

一方で、クエリ料の1%以下やデポジット税、Slashingで没収されたトークンがバーン(焼却)される仕組みも用意されています。

したがって、供給量は100億GRT + 新規発行量 - バーン量で計算されます。


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