信用取引とデリバティブ取引
信用取引とは、保証金を口座に預け入れ、それを担保に保証金の何倍もの金額を取引することを言います。
仮想通貨の信用取引では、預け入れた資金を担保に仮想通貨を借り入れて取引します。
一般的に取引に必要な保証金は、取引金額よりも小さくなるので、少ない資金で大きな金額の取引を行うことが可能です。
仮想通貨の現物取引と信用取引
仮想通貨の現物取引と信用取引を理解しましょう。
現物取引は、自分が持っている仮想通貨を別の仮想通貨と交換する取引のことです。
例えば、100万円分の資金が口座にあれば100万円分の仮想通貨を買うことができます。
一方、信用取引では100万円分以上の取引ができるのです。
例えば、300万USDC相当のビットコイン(BTC)を買いたいとします。
しかし、口座には100万USDCしかありません。
この場合、信用取引を使えば300万USDC分のビットコインを買うことが可能です。
300万USDCが必要なため、残りの200万USDCを、100万USDCを担保に取引所から借り入れるのです。
すると、元の100万USDCと合わせて300万USDC分のビットコインを買うことができます。
これが信用取引です。
このとき、現物取引と比べて少しの値幅で利益が大きくなり、当然ながら損失も大きくなるので注意が必要ですが、少ない資金で大きな取引が行えるため、資金効率は高まっていることがわかると思います。
また、信用取引では将来の価格が下落すると予想して価格が高いときに仮想通貨を売って、価格が下がったタイミングで買い戻す取引(空売り)をすることもできます。
例えば、1BTCの価格が100万円だとします。
価格が下落すると予想した場合、口座の資金を担保に取引所からビットコインを借り入れ、売ることができます。
仮に1BTCを借り入れ、売ったとしましょう。
1BTC = 100万円なので、手元には100万円が残ります。
取引はこれで終わりではなく、借りたビットコインは返さなければなりません。
なので、売ったビットコインを買い戻す必要があります。
予想通りビットコインの価格が下落し、1BTCの価格が80万円になったとしましょう。
1BTCを80万円で買い戻し、取引所に返済すれば、手元に20万円残ることになるので、20万円利益が出たことになります。
このように信用取引では、価格が下落すると見込んで取引所から仮想通貨を借り入れ、売りから取引を始めることもできるのです。
現物取引では、仮想通貨の下落局面で積極的に利益を上げることは難しいですが、証拠金取引では下落局面でも利益を上げることができます。
他にも、証拠金取引には先物やオプションなど複雑な取引が含まれ、利益の上げ方は多様化しています。
デリバティブ取引
次に、dYdXを調べると確実に登場するデリバティブという言葉について解説します。
デリバティブ(デリバティブ取引)とは、金融業界では金融派生商品と呼ばれるもので主に、先物、オプション、スワップの3つに分けられます。
ここでは、dYdXに関連が深い先物(先物取引)について解説します。
先物とは、予約だと考えてください。
例えば、新しいiPhoneが発売されるとします。
Aさんは新型iPhoneを買おうと決めていますが、価格はまだ発表されていません。
そこでAさんは新型iPhoneを販売予定の店側と先物取引をします。
交渉の結果、Aさんが新型iPhoneを10万円で買うことを予約したとします。
その後、新型iPhoneが販売され価格が12万円であったとすると、Aさんは10万円で買うことを予約していたため2万円得したことになります。
では仮に、新型iPhoneの価格が8万円だったとしましょう。
すると、Aさんは10万円で予約をしていたため、新型iPhoneを10万円で買わなければなりません。
つまりAさんは2万円損したことになります。
これが先物取引です。
先物取引は、将来価格のわかっていない商品をある時点での価格で取引することを予約する仕組みです。
仮想通貨の先物取引になると、新型iPhoneが仮想通貨になるイメージです。
実際の仮想通貨の先物取引では、証拠金を入金し、それを担保に数十倍の取引が可能です。
取引を終えると差額が決済されて、利益が出れば証拠金に加算され、損失が出れば証拠金から支払われる仕組みになっています。
以上で見たように、信用取引やデリバティブ取引は資金効率が良い点や下落局面でも利益を上げることが可能なことから、トレーダーに好まれ一般的なものになっています。
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イーサリアム上のDeFi
dYdXは、上記で説明した信用取引やデリバティブ取引を分散型取引所(DEX)で実現するイーサリアム上のDeFiプロトコルです。
イーサリアムは、様々な契約を自動化するスマートコントラクトを実行可能なブロックチェーンです。
このスマートコントラクトを利用することで、多種多様なDeFiプロトコルを分散的に運用することができます。
いまや無数に存在するDeFiプロトコルの中で、dYdXはDEXに分類されます。
そこでdYdXについて学ぶ前に、DEXについて理解しましょう。
DEXとは
DEXはDecentralized Exchangeの略称で、分散型取引所のことを指します。
DEXは中央集権型取引所(CEX)と違い管理主体はなく、スマートコントラクトを使って分散的に運用されている取引所です。
有名なDEXとしてはUniswapやPancakeSwapなどがあります。
DEXのメリットの1つとして抑えておきたいことは、「資金を自分で管理できる」という点です。
CEXで取引を行う際は、利用する取引所に資金を入金し、その資金で取引を行います。
CEXに入金した資金は一見、自分のウォレットに入っている(自分で管理している)ように思えるかもしれませんが、実はそうではありません。
秘密鍵や情報を企業に預けることで、CEXに入金した資金は取引所が管理しているのです。
一方、DEXを利用する際には、資金を全て自分で管理する必要があります。
DEXはMetaMaskのような仮想通貨ウォレットを接続するだけで利用できます。
そのため、DEX自体に資金を入金するわけではなく、秘密鍵などの情報を自分で管理することになります。
CEXを利用する際は資金を預けていることになるため、利用する取引所を信頼する必要があります。
その点、DEXを利用する際には資金を誰にも預けなくて良いため、他者への信頼が必要ありません。
トレードに関わるDEXの課題
「取引手数料が高く、一定ではない」というのがDEX、特にイーサリアム上のプロトコルの課題です。
CEXではユーザーの資金を取引所が預かっているため、取引所内での取引はブロックチェーンに記録されているわけではなく、取引所のデータベースにのみ記録されています。
そのため、手数料はブロックチェーンのガス代に依存せず、取引所が決定できます。
しかし、DEXの取引では全ての取引をブロックチェーンに記録するため、手数料がブロックチェーンのガス代に依存します。
ガス代が高騰していると、取引手数料も高くなってしまうのです。
もう一つ課題としておさえておきたいのが、信用取引やデリバティブ取引が提供されていないということです。
UniswapなどのDEXは現物取引に特化しており、信用取引などのレバレッジをきかせる取引に対応していません。
前述した通り、信用取引やデリバティブ取引はトレーダーにとって一般的な取引方法ですが、行えるのはCEXに限られてしまっています。
そこで登場するのがdYdXです。
資金管理を委託しないというDEXとしてのメリットをそのままに、「取引手数料が高く、一定ではない」「信用取引などが提供されていない」という2つの課題を解決する分散型取引所がdYdXになります。
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