イーサリアムが抱える3つの課題
プルーフオブワーク(PoW)を採用しているイーサリアムは、主に3つの大きな課題を抱えています。
1つ目は、スケーラビリティ問題です。
イーサリアムは、エコシステムが大きくなるにつれて需要が増加し、一度に処理することができるトランザクション数がキャパシティを超えるようになりました。
その結果、取引手数料(ガス代)も高騰するようになり、一般的な個人の利用者にとってイーサリアムは利用しづらいものになってしまっているのです。
2つ目はストレージです。
イーサリアムはパブリックチェーンのため、不特定多数のノードによって分散的に運用されています。
ノードになるためにはイーサリアムのブロックチェーンに記録されているデータを保存しておかなければなりません。
このデータの容量が大きくなるにつれて、当然ながら保存するためのストレージも多く必要になります。
そのため、性能の低いコンピュータではノードになることが難しく、ノードになるために多額の初期費用を投下しなければならない状況です。
3つは環境問題です。
これはイーサリアムに限った課題ではなくビットコインでも同じことがいえますが、プルーフオブワークにおいてマイニングを実行するには膨大な電力が必要になります。
プルーフオブステーク(PoS)であればマイニングは必要ないため環境問題を解決することが可能です。
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イーサリアム2.0の全体像を把握しよう
これらの課題を解決するために、イーサリアムは「イーサリアム2.0」または「Serenity(セレニティ)」と呼ばれる大型アップデートを進めています。
イーサリアム2.0のゴールは、プルーフオブステークへの移行とシャーディング(Sharding)の実装です。
プルーフオブステークへの移行のことを「Casper」と呼ぶ場合がありますが、基本的には同じ意味になります。
シャーディングは、ブロックチェーンのスケーリング性能を高めるための仕組みです。(詳しくはレッスン5で学習します)
つまり、プルーフオブステークへの移行によりマイニングを廃止し環境問題を解決することを目指しつつ、シャーディングの実装によりスケーラビリティ問題とストレージの問題を解決しようというのが、イーサリアム2.0のプロジェクト目標です。
プルーフオブステークでは、マイニングを行う代わりにノードが自身の持つイーサ(ETH)をネットワークに預けます(ステーキング)。
こうすることで、そのノードはバリデータと呼ばれるネットワークの運営者になることができるのです。
バリデータになるには32ETHを預けなければなりません。
イーサリアムのブロックが生成されるには、全バリデータのうち2/3以上の承認が必要です。
仮に、バリデータが不正を行いブロックチェーンを改ざんしようとした場合、預けていたETHが没収される仕組みになっています。
プルーフオブステークでは、ネットワークによってブロックごとにバリデータがランダムに選定されるため、マイニングのように先着順を争う必要がありません。
つまり、無駄な電力を消費することがなくなるのです。
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イーサリアムの目指す世界観
WebサービスにおけるCAP定理のように、イーサリアムにもトリレンマが存在します。
ここでのトリレンマは、「スケーラビリティ」「分散性」「セキュリティ」です。
これまでのイーサリアムはこのトリレンマを解消することができず、どれか2つの性質を実現するために1つを犠牲にしていました。
イーサリアム2.0では、このトリレンマを解消することをビジョンに設定しています。
つまり、より分散化されて安全であるにも関わらず、処理性能が高いブロックチェーンを実現しようとしているということです。
スケーラビリティ
ノードの数を少数に限定し、ストレージの容量を大きくすればスケーラビリティは向上しますが、それでは分散性が犠牲になってしまいます。
イーサリアム2.0では、シャーディングを実装することで処理性能を高めるようとしています。
具体的には、イーサリアムの基盤となるメインのブロックチェーンに加えてシャードチェーンという補助的なブロックチェーンを64個新たに作り出します。
このシャードチェーンはそれぞれでトランザクションを処理することができるため、これまで1つのブロックチェーンで行ってきたことを同時に何倍も行うことが可能になるのです。
バリデータも、イーサリアムネットワークに全体を検証せずに各シャードチェーンを検証すれば良くなるため、ノードで管理するデータの容量を少なく抑えることができます。
これにより、これまで通りの分散性を維持したままスケーラビリティを向上させることができるのです。
セキュリティと分散性
プルーフオブワークと違い、プルーフオブステークではバリデータがブロックを生成するために大量のETHをネットワークに預けておく必要があります。
万が一不正を行った場合には預けておいたETHが没取されてしまうため、不正を抑制することができるのです。
また、プルーフオブステークではネットワークに自身のETHを預けるだけでよいため、プルーフオブワークにおけるマイニングのように高性能なコンピュータを用意する必要がありません。
そのため、誰でも気軽にバリデータになることができ、ネットワークの分散性を高めることになります。
ネットワークがより分散化するということは、特定のバリデータの影響力を小さくすることに繋がるため、ネットワークがより安全になることを意味するのです。
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