DeFiエコシステムにおけるメリットと課題
ここまでのレッスンで学習してきた通り、DeFiにはパブリックチェーンの特性を活かすことで、下記のような既存の金融システムには無いメリットを享受できるといえます。
- 金融サービスの開発が自由になる
- 金融サービスへのアクセスが自由になる
- 金融サービスが自動化され、より一層効率的になる
また、各DeFiプロジェクト同士におけるスマートコントラクトの統合も順調に進んでいます。
しかしながら、まだまだ多くの課題が残されています。
ここでは、DeFiエコシステムにおける課題を整理することで、未来のDeFiについての理解を深めていきましょう。
スマートコントラクトのリスク
スマートコントラクトは、SolidityやVyperと呼ばれる専用のプログラミング言語により開発されます。
各スマートコントラクトは、イーサリアム(ETH)やDaiなどの暗号通貨を扱うため、そこにはバグや脆弱性が残る可能性が高くなります。
そのため、スマートコントラクト自体を専門的な監査プロジェクトにチェックしてもらうのが通常です。
しかし、それでも予期せぬ事態(ブラックスワン)が発生する可能性はゼロにはできず、実際にハッキングされてしまう例も出ています。
DeFiは、既存の金融システムより高度なセキュリティ性能を持つといわれますが、不測の事態に対していかに対応するかが重要です。
暗号通貨と法定通貨の交換
ETHやDaiはグローバルな暗号通貨であり、理論上は地域や年齢、境遇に関係なく、インターネットにアクセスできる人なら誰でも利用可能です。
しかし、実際に入手するとなると、特に発展途上国では簡単にはいきません。
仮に自国の法定通貨を大量に持っていた場合でも、法定通貨と暗号通貨を交換する何かしらの方法が必要になります。
DeFiエコシステムが十分に普及したとしても、そもそも暗号通貨にアクセスするための手段が無ければ意味がないのです。
オフチェーンとDeFiの融合
DeFiプロジェクトの多くは、パブリックチェーンのエコシステムに閉じている場合がほとんどの状況です。
しかしながら、今後は不動産や法定通貨の価値、法規制などと連携しなければ、エコシステムの拡大は望めません。
例えばステーブルコインのDaiは、スマートコントラクトを使って米ドルの価値を表現するプロジェクトですが、他にも様々な形でオフチェーンとの融合に取り組むことが必要です。
少額および無担保でのローン
「お金を貸す・借りる」が最もシンプルな金融サービスの一つですが、現在のDeFiにおける貸し借りは、いずれも過剰な担保を求める方法でしか実現できません。
例えば、100ドル分の暗号通貨を借りたい場合、150ドルや200ドル分の暗号通貨を担保に差し出す必要があるのです。
これは、返済できなかった場合にスマートコントラクトで強制的に担保を没収できるようにするためです。
しかしながら、銀行で法定通貨を借りる余裕のない人が、DeFiで暗号通貨を借り入れるための担保を有しているとは考えられません。
そのため、信用スコアをはじめとしたより柔軟な貸し借りのシステムが求められています。
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DeFiの展望について理解を深めよう
将来への期待と課題が混じり合うDeFiだからこそ、フラットな目線で様々な議論をすることが重要です。
現状の国内状況では、DeFiに限らずパブリックチェーンにおいても、日本は海外に遅れを取っています。
加えて、広く深い分野であるとともに日々多くのアップデートが行われるため、一人で全ての学びを得ることは非常に難しい状況です。
しかし、DeFiはそもそも注目を集めるためのキーワード・概念として発案されています。
その可能性を広く知ってもらうことでさらなる議論を呼び起こし、実際に開発する人々を呼び込んでいくためのムーブメントなのです。
多くのプロジェクトでスマートコントラクトを活用し合えるように、新たに学びたい人にも暖かく手を差し伸べてサポートする文化が浸透しています。
DeFiの可能性と課題を理解した上で、DeFiプロジェクトの開発や学習、議論に積極的に参加していきましょう。
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