国際送金市場の拡大推移について
グローバリゼーションが加速化する現在、国際送金の需要が急増しています。
個人や中小企業による国際送金(レミタンス)は年間6,000億円に及び、過去30年で13倍にまで膨れ上がりました。
その背景には、国境を跨る移民の急増があります。
これまで、移民人口は年間平均で9%増加してきているのです。
また、以前は国際商取引における主要プレイヤーは大企業でしたが、電子商取引の普及により、中小企業による国際商取引が急増しました。
現在では、先進国の約1/3の中小企業がなんらかの海外取引を行なっています。
このような国際送金の主体構成の変化、またユースケースの変化があるにも関わらず、国際送金のインフラは50年近くほとんど手付かずです。
そのため、ユーザーの需要に応えられていない現状があります。
次のセクションでは、そんな国際送金の課題について詳しく見ていきましょう。
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国際送金の課題
現在の国際送金における課題は、主に3つです。
まずは処理スピードの遅さです。
一般的に、国際送金の決済には3〜5日必要とすることが多くなっています。
また、表面的にはアプリなどで送金完了と表示されていたとしても、実際に裏側では金融機関同士の決済に数日かかっていることがほとんどです。
表面的な「支払い(payment)」と「決済(settlement)」については分けて考える必要があるでしょう。
2つ目はコストの高さです。
銀行で国際送金を依頼すると、通常手数料だけで5,000円近くかかり、さらには為替スプレッドにより多くの場合でユーザーに見えないコストが発生しています。
現在、世界の国際送金の平均コストは約7%といわれていますが、日本はその中でも最も高い国の1つです。
特に銀行経由の国際送金のコストが2013年時点で送金額の14%と非常に高く、近年低下傾向ではあるものの、依然として他国よりも高いままとなっています。
3つ目は信頼性の低さです。
国際送金のエラー率は数%といわれていますが、これには様々な要因が存在します。
中でも、送金データ送受・処理と決済がリアルタイムにリンクされていないことに大きな理由があります。
これらの問題により、現在国際送金の顧客体験は大変乏しいものとなっています。
それではなぜ、このような問題が解決されないのでしょうか?
次のセクションでは従来の国際送金の仕組みについて理解を深めていきます。
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従来の国際送金の仕組み
現在、銀行が顧客(法人、個人)に国際送金サービスを提供する際には、多くの場合に送金情報のやりとりをSWIFTというメッセージングネットワークを通して行っています。
そして、送金側と受取側の銀行が直接的な関係を持っていない場合、中継する銀行(コルレス銀行)が仲介に入ることで、SWIFTのメッセージを頼りに送金を遂行しているのです。
これはつまり、以下の図のようにあたかもバケツリレーのような形で一方通行での情報がやりとりされていることを意味します。
このような仕組みのため、決済までに非常に時間がかかり、エラーが起こりやすく、データ照合にもリソースが必要です。
また、送金側がいつ着金したかという情報を把握できなかったり、途中の中継銀行によって為替コストや手数料が引かれてしまうことで最終的に着金する金額がわからないという問題も存在します。
また、資金の流動性を確保するために、送金側の金融機関は受取側の国の金融機関にノストロ口座を開設し、事前振込(プリファンディング)をしなければなりません。
これは、資本効率性や為替リスク、オペレーション及びコンプライアンスの観点からも非常にコストがかさむモデルとなっており、最終的にはユーザーへのコストに転嫁されているのです。
SWIFTは1970年代にできたものですが、当時は国際送金の主体の多くは大企業であり、高額・低頻度の国際送金が主流となっていました。
当時はSWIFTのような仕組みでも十分機能していたようですが、現在は国際送金の主体が変化し、個人や中小企業による低額・高頻度の送金が激増しています。
この時代の需要に、SWIFTなどの従来の仕組みは付いていけていないのです。
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ブロックチェーンによる国際送金の問題の解決
ここまでに学習した課題は、ブロックチェーンを活用した新たな国際送金の仕組みを作ることで解決することができます。
Ripple社はそのパイオニア企業であり、ブロックチェーンを活用した国際送金ネットワーク「RippleNet」を世界中の金融機関に提供し、国際送金の顧客体験を飛躍的に向上しています。
具体的には、リアルタイム決済を可能にするだけでなく非確実性を除去し、また暗号資産をブリッジ通貨として活用することでコストを削減します。
次回のレッスンでは、Rippleが提供する国際送金のソリューションを詳しく学んでいきましょう。
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