オンライン広告の現状
今日、インターネットを使用したオンライン広告の費用は、全世界で毎年30兆円にも及びます。
これは、毎時間30億円以上ものオンライン広告取引が実施されていることになります。
しかし、全世界のオンライン広告市場はたった50社のみが大部分を占めており、そのうちの2社(GoogleとFacebook)が80%を占めています。
これらのいわゆるTech Giantによって、オンライン広告費の増加分のうち96%が搾取される一方、広告主への広告経由での収入は減少し続けているのです。
広告を閲覧する我々消費者(閲覧者)も、広告によってページの読み込み速度が遅くなったり、電池を浪費させていたりします。
下記は、オンライン広告によって閲覧者が被る悪影響の具体例です。
- 約5秒の動作遅延:Webページの読み込み速度が低下
- 124にも及ぶトラッカー群:閲覧者のデータを取得しようとするメディアサイトなどが増加
- 広告の読み込みに毎月2,300円必要:広告やトラッカーを意図せずダウンロードしてしまうために余計な支払いが発生している
- プライバシーが漏洩するリスクが3倍に増加:2017年におけるマルウェアやランサムウェアといったウィルスの発生数
これらの対策として、全世界で6億台以上のデバイスにアドブロックのツールが導入されているのです。
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ステークホルダーの現状を整理しよう
オンライン広告には、大きく分けて「広告主」「広告掲載者」「広告閲覧者」の3つのステークホルダーが存在します。
現状のオンライン広告市場では、いずれのステークホルダーに対しても少なからず悪影響が発生しているのです。
広告主
広告業界の起点となる広告主は、オンライン広告によって透明性の確保と品質の向上を実現できるはずでした。
インターネットによる追跡性とデータ収集による改善プロセスの効率化が期待できたからです。
しかしながら、広告主の出稿した広告がWebメディアに掲載され、閲覧者に届くまでに非常に多くの仲介人が存在するようになったことで、透明性と品質向上はむしろ失われたといえる状態に陥りました。
このような存在は、ただ単に複雑さと不透明さを生み出す原因となっています。
掲載者
Webメディアなどの広告掲載者は、広告主と閲覧者を繋ぐ重要な役割を担っています。
しかし、三者間に多くの仲介人が存在するようになったことで、データ転送による読み込み速度の遅延が発生しました。
これにより、広告以外のコンテンツを閲覧してもらう機会も減り、閲覧者からの評価も下がってしまう始末です。
仲介人の存在は、広告主から直接掲載者へ支払われる収入の減少も引き起こしています。
また、アドブロックのツールによる収入減も無視できない規模になりつつあるといえるでしょう。
閲覧者
インターネットが発展した現代では、広告の閲覧者は、広告を経由して様々なプライバシーが搾取されていることに気付き始めています。
オンライン広告の仕組みは、透明性を高め、より関連性のある閲覧者の注意を集めるために開発されました。
閲覧者から収集したデータは本来、質の高い広告を配信するためだけに使用され、より自分事化してもらうためのものだったのです。
しかし実際には、収集したデータを外部に販売していたり、自分にとって関心の低い広告が配信されたりと、閲覧者にとって何もメリットがない状況に陥っているのです。
その結果、閲覧者は広告主に対して悪いイメージを抱くようになっています。
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閲覧者の興味・関心はより高価になっていく!?
インターネットによる情報過多の時代では、人々は限られた情報にしか注意を向けることができません。
広告の閲覧者を中心とした広告出稿のプロセスを考え直さないことには、広告業界の未来はないといえるでしょう。
そこで台頭が期待されているのが、ブロックチェーンを活用した新たなオンライン広告の仕組みです。
次回以降のレッスンで、ブロックチェーンを活用した次世代の広告業界、とりわけWebブラウザについて学習していきます。
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